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場所論ー002

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場所は、多くの人々にとって、人間との親しい関係と同じように必要かつ重要なものである。意識的・無意識的にかかわらず、私たちは日々、その場所にいることで、場所の影響を受けているだろう し、また一方で、そこで日々を過ごすことで、「場所」を創り出す一角を担ってもいる。 現実に生き る存在として人間は、場所と切り離されて存在することは出来ない。人間は生まれてから死ぬまで、常 にどこかに存在し、場所と関わりながら生きている。

チェルノブイリのように、ひとつの歴史的事故が、それまで生まれ育っていた地を生存不可能な場所 に変えてしまい、移住を余儀なくされることもある。そうかと思えば、開発の波に揺さぶられ、かつ てとは全く違う景観になってしまった町は日本中、世界中に数多く存在する。水俣の人々は、チッソ による有機水銀垂れ流しによって生まれた公害によって引き起こされたわだかまりを地域全体でうけながらも、いまもその地に生きる。 負の意識をもった場所で生まれ育つことは、アイデンティティに負の意識を付与することにもなるの かもしれない。 人々の記憶は「生きられた場所」に分かちがたく宿り、経験は場所に分かちがたく結 びつけられている。

「人間が必要とするのは土地の切れ端ではなくて、「場所」なのである。それは人間としてのびの び発展し、自分自身になれるための背景なのだ。この意味での場所はお金で買うことはできない。そ れは長い時間をかけて人々の平凡な営みによってつくられなければならない。彼らの愛情によってス ケールや意味が与えられなければならない。」( エドワード•レルフ『場所の現象学』 p185)

場所とは、意味をもった空間のことである。「生きられた世界」、つまり日々の営みの中で、私た ちが暮らし、知識を得、直接に経験する背景や状況となるものである。場所は、多くの人々にとっ て、人間との親しい関係と同じように必要かつ重要なものである。意識的・無意識的にかかわらず、私たちは日々、その場所にいることで、場所の影響を受けているだろうし、そこに生活する人々のアイ デンティティの基盤を提供しするものでもある。

ドロレス・ハイデンが『power of place(邦題:場所の力)』で語るように、場所を守り、また新たに創り出してゆくことは、何らかの方法で自動的に達成されるというようなものでなく、場所に対 する本来的な希求に根ざした個人及び集団の努力によってはじめて可能になる。そうした人々にとって重要な「場所」がいかにして形成されるのか、またそうした場所を意識的に、いかにして形成してゆけるのだろうか。

「場所の力、それは、ごく普通の都市のランドスケープに秘められた力である。共有された土地の中に 共有された時間を封じこみ、市民の社会的な記憶を育む力である。」とドロレス・ハイデンは述べている。「場所の力」は、何気ない日々の営みの中で、自然と形成されるものであるとも言えるだろう。そこに人との思い出があれば、どんなものでも、場所の力を果たせるような装置に自然となりうるのだと思う。

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